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ワーママは知っておきたい妊娠中〜復帰後のサポート制度お金・制度について

取材:2016年8月(2018年4月一部更新)

著者インタビュー画像 妊娠してから産休までの期間を働きながら過ごし、出産後も育児と仕事を両立して長く働き続けたいと考える女性は増えています。子育て世代の労働力は社会にとっても貴重な財産。労働環境の整備も急速に進んでいます。今回はワーママが知っておくべきサポート制度について詳しい、経済ジャーナリストの酒井さんにお伺いしました。
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妊娠中に知っておきたい制度

著者インタビュー画像1 妊娠中に働く女性は、さまざまな法律でその立場が守られています。妊娠初期こそ無理は絶対避けたい時期ですので、妊娠が判明したら(病院で心拍を確認できた6〜8週頃)、上司への報告だけはできるだけ早く行い、理解とサポートを得ることをおすすめします。その上で次から紹介する制度を利用していきましょう。
まず、妊娠中に定期的に受診することになる「妊婦健診」や、妊娠後期になると役所が行う「母親学級」などに要する時間は、勤務時間内に確保できます。混雑する土曜日などの休日に無理に予定を入れる必要はありません。ただし、有給か無給かは会社の規定次第なので確認しておきましょう。
もし、妊娠中や出産後の健診などでトラブルがあり、医師などから「立ち仕事は禁止」「デスクワークなど内勤で安静に過ごして」などの指導を受けた場合は、内容に応じて勤務時間の変更や業務内容の軽減などを求めることができます。その際、「母性健康管理指導事項連絡カード」を活用するとスムーズ。カードは厚生労働省のホームページからダウンロードも可能。母子手帳に掲載されているものをコピーして使うことができます。医師が診断結果や必要な措置などを書いたものを妊婦本人が提出し、会社側はそれに沿って対応します。プリントしたものをいつも持っていると急な体調変化があったとき、役に立ちますよ。
参考:
  • 保健指導又は健康診査を受けるための時間の確保(男女雇用機会均等法第12条)
  • 指導事項を守ることができるようにするための措置(男女雇用機会均等法第13条)

妊娠中は体に負荷の高い仕事や残業・深夜労働は避けられる

著者インタビュー画像2 妊娠中は重いものを運ぶ仕事や、有害物質が一定濃度以上に発散する場所などでの仕事は禁止されています。建設、水道、工事現場などに関わる仕事をしているなら、要注意。それ以外にも長時間の立ち仕事など、自分がつらいと思う仕事であれば上司に相談の上、配置転換や業務内容の調整をリクエストすることもできます。
妊娠中は、希望すれば残業・休日出勤・深夜業務も免除されます。変形労働時間制の場合にも、1日8時間かつ1週間につき40時間の法定労働時間を超えた労働は免除されます。また満員電車を避けるための時間差通勤や休憩時間の延長を希望することも可能です。
自分の体調について誤解なく勤め先に報告するために、前述した「母性健康管理指導事項連絡カード」を医師に書いてもらって、会社に申し出るのも一つの方法です。
妊娠中は体調が悪くて会社を休む、残業をしないなどで、周囲に気まずさや遠慮の気持ちを持つ人もいるかもしれません。ですが、妊婦にとって無理なく働き続けられる職場環境づくりを目指すことは、後に続く女性たちのためにもなるはずです。

参考:
  • 妊産婦等の危険有害業務の就業制限(労働基準法第64条の3)
  • 女性労働基準規則
  • 妊婦の軽易業務転換(労働基準法第65条第3項)
  • 妊産婦の時間外労働、休日労働、深夜業の制限(労働基準法第66条第2項及び第3項
  • 妊産婦に対する変形労働時間制の適用制限(第66条第1項)

「育休」は父親の取得で1年2カ月まで期間延長も可

著者インタビュー画像3 法律で定められている「産休」とは、出産予定日の6週間前(双子以上の場合は14週間前)から取得できる「産前休暇」と、出産日の翌日から8週間取得できる「産後休暇」の2つの休みからなります。休むためには自分から申請手続きをする必要があります。スムーズな引き継ぎや体調管理のために、妊娠がわかったら計画的に準備を進めましょう。
子どもが生まれたら、通常「産休」が終了した翌日から子どもの1歳の誕生日の前日まで「育児休業」を取得できます。また子どもが1歳になっても保育所に入れないなどの要件を満たす場合は、子どもが1歳6カ月に達するまで育休を延長でき、1歳6カ月到達時点でも保育所に入れないなど更に休業が必要な場合、2歳に達する日まで育休を延長できます。自治体から発行される「不承諾通知書」(名称は自治体によって異なる)を1歳の誕生日を迎える前日までに会社に提出しましょう。また、1歳6カ月の時点でも保育所に入れない場合は改めて申請が必要です。
育休は、母親だけではなく、父親も同じ条件で取得できます。 父母が共に育休を取る場合、子どもが1歳2カ月になるまでは育休取得期間を延長できます。 ただし、子どもが1歳2カ月になるまでにふたりとも、育休を取り終える必要があることを、覚えておきましょう。父親が子どもの出生後8週間以内に育休を取得した場合、一度復職した後に再度の育休を取得することも可能です。希望のスケジュールで育休を取得するためには、休業開始予定日から1カ月前までに申し出ます。
もし職場に前例がなかったり、最新の法改正などの情報に詳しい人がいないようなら、自分で調べて担当者に伝える必要があるかもしれません。職場によって状況は違うので、育休取得などの自分の希望はできるだけ早めに伝えたほうがよいでしょう。

参考:
  • 産前・産後休業(労働基準法第65条第1項及び第2項)
  • 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第5条〜第9条の2

職場復帰後に知っておきたい制度

著者インタビュー画像4 出産後に職場復帰すると、生活のペースをつかみづらく、仕事の勘を取り戻すまでに意外と時間がかかるものです。朝夕の保育園の送迎も始まりますね。仕事が思うようにはかどらない、保育園の送迎と会社の勤務時間が折り合うかどうか不安に思う方も多いと思いますが、そんなときこそ様々な制度を活用し、乗り切っていきましょう。
まず1歳未満の子どもを育てる女性は、勤務時間中に1日2回、それぞれ最低でも30分の育児時間が取得できます。1回にまとめて1時間取ることも可能です。1日のどの時間帯で取るかは本人が自由に決められます。たとえば、勤務時間が9〜17時の場合、9時出社〜16時退社として、1時間勤務時間を短縮してお迎えに向かうことができるわけです。
これとは別に3歳未満の子どもを持つ親は、「短時間勤務制度」を利用して1日の勤務時間を6時間等に短縮できます。ただし管理職であれば、会社との相談が必要な場合もあるので確認しましょう。 短時間勤務制度の実施が難しい職場では、それに代わる措置として、フレックスタイム制や会社内保育施設の設置、始業時間・終業時間の繰り上げ・繰り下げなどの導入が定められています。 

参考:
  • 労働基準法第67条
  • 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第23条

未就学期を乗り切るための残業免除制度

著者インタビュー画像5 3歳未満の子どもを持つ親が希望した場合、会社はいわゆる「残業」をさせてはならないという法律があります。子どもが3歳になると残業免除は適用されなくなります。その代わり、3歳から小学校入学前の子どもを持つ親が希望した場合、会社は1カ月で24時間、1年で合計150時間を超える時間外労働をさせてはいけません。同様に深夜労働(午後10時〜午前5時)もさせてはいけないことになっています。
残業する場合でも、1カ月24時間の範囲で仕事を回せるよう、上司とも相談しながら進めていくとよいでしょう。それでもどうしても残業しないと仕事が回らないときもあるかもしれません。その場合、夫婦でお迎えを交代制にするなど、うまく時間を融通し合うことも大切です。仕事も育児も一人で抱え込みすぎて体を壊すことになっては、元も子もありませんから。

参考:
  • 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第16条の8
  • 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第17条、19条

子どもの病気のときも上手に制度を活用して前向きな両立ライフを

子どもが病気になり、看護のために会社を休まなければならないことは、意外と多いもの。そんなときのために、子ども1人につき年間5日(子が2人以上の場合は年間10日)の「子の看護休暇」が認められています。小学校入学前の子どもを持つ親は、会社に申し出ることによって、病気やけがをした子の看護、予防接種、健康診断のために休暇を取得できるのです。病気は突然の場合が多いので、当日・口頭での申し出も認められます。この休暇は年次有給休暇とは別に取得できる点がポイント。有給か無給かは会社の定めによるので、確認してみましょう。
復帰直後は子どもが保育園に慣れていないこともあり、びっくりするほど体調を崩しやすく、看護休暇も有給休暇も使い果たしてしまうことが少なくありません。でも「子どもにこんな思いをさせて可哀想!」「もう仕事を続けていけない……」と追いつめられないでください。それまでバリバリ仕事に打ち込んできた人ほど不本意な気持ちを味わうかもしれませんが、一度辞めてしまうと復帰するのは容易なことではありません。だからこそ上手に制度を活用しながら、そして周囲の人の力も借りながら、無理をせず前向きな両立ライフを目指したいですね。

参考:
育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第16条の2、3

※プロフィールは取材当時のものです。

著者プロフィール

経済ジャーナリスト

酒井 富士子

株式会社回遊舎代表取締役。ファイナンシャルプランナー。上智大学卒。日経ホーム出版社入社。『日経ウーマン』『日経マネー』副編集長歴任後、株式会社リクルートに入社。『あるじゃん』『赤すぐ』(赤ちゃんのためにすぐ使う本)副編集長を経て、2003年から経済ジャーナリストとして金融分野を中心に活動。近著に『貯められない人のための手取り「10分の1」貯金術』(秀和システム)、ほか多数。2児の母。

※法改正などによる変更があるので、最新情報を確認しましょう

※以下全て厚生労働省HPより

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