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知っておきたい!産前・産後の「もらえるお金」と「かかるお金」お金・制度について

取材:2016年8月(2018年4月一部加筆修正)

妊娠中から産後まで必要になるお金はさまざま。そのうちの多くは国や自治体、健康保険組合などの手厚いサポートがありますが、「いつ何を手続きすればどれくらいもらえるのか、いつどんな出費があるのか」は気になるところ。ファイナンシャルプランナーであり、取材経験豊富な酒井さんに、慌てずに済むように、知っておくべきことをお伺いしました。
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妊娠中の健診には自治体の手厚いサポートあり

著者インタビュー画像 20年ほど前と比べると、今の日本は「まるで別の国!」というくらい、妊娠・出産に関わるお金のサポート制度が整ってきています。そのため、妊娠・出産時の出費については、実はあまり心配いりません。まずはどんなお金がどれくらい補助されるのかを順を追って紹介します。
「妊娠したかも」と思ってはじめて病院に行くと、受診料が高くて驚くかもしれません。妊娠は病気ではないので、医療費のように「自己負担3割」は適用されず、初診料などもあって、1万円程度かかるケースもあるためです。でも全額負担はこの1回だけというのが一般的。赤ちゃんの心拍が確認でき(妊娠6~8週頃)、住民票のある役所に妊娠届を提出すると、母子手帳と一緒に妊婦健診費の助成として14回分のチケットがもらえます。これでだいたいの健診費用は賄えます。
ただし注意したいのは、里帰り出産などで住民票がある地域とは別の自治体で健診を受ける場合、健診は全額自己負担となること。ただし、出産後に住民票のある自治体に領収書と未使用のチケットを提出すれば、後からでも清算できます。

妊娠中の思わぬ入院や長期欠勤にも救いの手がある

著者インタビュー画像 妊娠中は、ひどいつわりや切迫流産などで急な入院をすることもあり、それが長期に及ぶと入院費も高額になります。1カ月の医療費の自己負担額が月8万1000円を超えた場合(収入制限あり)、超過分のお金が補助されます。入院することがあれば、すぐパートナーに頼んで健康保険組合または役所で「限定額適用認定証」をもらい、それを病院での支払い時に提示すれば自己負担分のみの支払いとなりスムーズです。
また勤務先で健康保険か共済組合に加入している人で、長期入院などで4日以上休むと無給になってしまうときは、4日目からは日給の3分の2にあたる「傷病手当金」が支給されます。当てはまる場合、勤務先から申請書を入手し、欠勤明けに提出します。妊娠中の予想外の体調トラブルの際にはしっかり休養できるように、こうした制度があることを覚えておくとよいでしょう。
ちなみに個人的な意見になりますが、妊娠による入院や体調不良などで会社を休む際、必ずしも有給休暇を使う必要はありません。復職後、子どもの病気などで急な休みが多くなることを考えると、なるべく残しておいたほうが得策かもしれません。

出産でかかる費用は「出産育児一時金」で補助される

著者インタビュー画像 ご存知の方も多いかもしれませんが、出産時には分娩費用として子ども1人につき42万円(このうち1万3000円は産科医療保障制度のかけ金)が健康保険から支払われます。これが「出産育児一時金」です。
受け取り方は「直接支払制度」「受取代理制度」「産後申請方式」の3種類がありますが、8割以上の人が自治体から病院などに直接支払われる「直接支払制度」を利用しています。この場合、赤ちゃんを連れて退院するとき、かかった費用から出産育児一時金分を差し引いた差額分のみを自分で支払うことになります。
個室を利用したり、緊急手術となったり、割高な私立病院などを利用すると差額が5万~15万円、ときにはそれ以上かかることもありますので注意しましょう。また病院によっては、「直接支払制度」が利用できないことも。その場合、「受取代理制度」を利用したり、まずは全額を払い、「産後申請方式」を利用して後日振り込まれることになるので、事前に確認しましょう。

慣らし保育期を乗り切る「ゆるっと復帰」の支援も充実

著者インタビュー画像 いよいよ職場復帰をしても、保育園入園後しばらくは、子どもも慣れない環境で体調を崩しがち。リズムに乗るまではゆるく復帰して、徐々にアクセルを踏んでいくほうが、親子共々負担が軽くなります。そのような無理のない復帰を経済的にもサポートしてくれる制度が整ってきたので、ぜひ利用してください。
例えば2014年10月からは月に80時間までの勤務であれば「育児休業給付金」は継続して支給されることになりました。いきなり週5日のフルタイム勤務からスタートするよりも融通がきいて気持ちも楽。しかもお金ももらえるのですから、本当にありがたい制度です。
また夫と妻が交代で育児休業を取ることで、育児休業期間を1年から1年2カ月まで延長できる「パパママ育休プラス」という制度もあります。例えば産後1年は妻、その後2カ月は夫が育休で休み、それぞれが「育児休業給付金」をもらうことができます。

児童手当と医療費助成の申請は出生届とセットで

著者インタビュー画像 子どもが生まれるともらえるのが毎月1万5000円(0~3歳未満まで)の「児童手当」と、病院などにかかった際の医療費がある時期まで無料になる「乳幼児・子どもの医療費助成」です。
この手続きは早いに越したことはなく、全て出生届提出のタイミングに合わせて自治体に申請するのがベスト。出生届は生後14日までが提出期限なので、生まれる前に必要書類を準備しておく必要があります。このタイミングで、子どものマイナンバーの申請もしましょう。
ちなみに「児童手当」の振込口座は子どもの名前にはできませんが、できれば専用口座を用意して生活費とは別に貯蓄しておきましょう。1人分で中学校修了までに200万円弱たまりますので、その後の高校・大学で必要となる学費の足しにするのが賢明だと思います。
また「乳幼児・子どもの医療費助成」は、赤ちゃん本人の保険証が必要になります。生まれたらすぐに健康保険か国民健康保険に申請し、発行された保険証を持参して役所へ手続きに出向きましょう。

医療費の払い戻しは確定申告を

著者インタビュー画像 1~12月までの1年間にかかった医療費が世帯総額で10万円超になった場合、超過分の1割などが確定申告で還付金として戻ってきます。2~3月の指定期間に税務署に申告すると、数週間~数カ月後には口座に振り込まれるという流れです。出産費用が高額だった場合も適用されます。慣れない申告作業はとても面倒で時間がかかるものなので、産後は育児に専念し、できればパートナーにお任せすることをおすすめします。その際、医療費の領収書はまとめて渡しておきましょう。
これまで紹介してきた給付金の申請や手続きの際には、「マイナンバー」が必要です。自治体によっても異なりますが「妊婦健診の助成」「児童手当」「乳幼児・子どもの医療費助成」「育児休業給付金」などで必要となります。手続きの際には事前に必要書類を必ず在住エリアの自治体に確認しましょう。

子どもが3歳になるまでの出費は覚悟して

著者インタビュー画像 妊娠・出産で「もらえるお金」は結構あることがわかっていただけたと思います。では「かかるお金」はどれくらいでしょうか? 出産準備費用としては、だいたい10万円かかるという調査結果があります。これはベビー用品や衣類などですね。そして出産後は毎月2万円位プラスでかかってきます。内訳はオムツが1万円、ベビー服などの赤ちゃんグッズが1万円となります。ミルクを使うとさらに1万円くらいかかるでしょう。
これとは別に大きな出費となるのが保育園費です。預け先の形態や世帯年収によって負担額は変動するものの、0~2歳までは月平均7万~8万円かかるという調査結果も。しかもこの時期は子どもが体調を崩しやすく、病児保育やシッターさんを頼むことによる予定外の出費もあります。このため、夫婦共働きであれば、妻の分の給料はすべて注ぎ込むくらいの覚悟が必要です。3歳になると保育園費は月平均5万円、4~5歳になると月平均2万円と下がってきて、家計も楽になってきます。
子どもが3歳になるまでは、精神的にも経済的にもきついこともあるでしょう。でもそれは多くのワーキングマザーが必ず通る道でもあります。前向きに「こんなもんさ」とおおらかに構えてほしいですね。ドロップアウトするのは簡単ですが、再就職のハードルは想像以上。積み上げてきたキャリアを生かすためにも、この時期は明るく前向きな気持ちで両立生活を乗り切ってください。

※プロフィールは取材当時のものです。

著者プロフィール

経済ジャーナリスト

酒井富士子

株式会社回遊舎代表取締役。ファイナンシャルプランナー。上智大学卒。日経ホーム出版社入社。 『日経ウーマン』『日経マネー』副編集長歴任後、株式会社リクルートに入社。『あるじゃん』『赤すぐ』(赤ちゃんのためにすぐ使う本)副編集長を経て、2003年から経済ジャーナリストとして金融分野を中心に活動。近著に『貯められない人のための手取り「10分の1」貯金術』(秀和システム)、ほか多数。2児の母。

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