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保育園コンサルタントが教えるいまどきの保育園選び保育について

取材:2015年12月(2018年4月一部加筆修正)

著者インタビュー画像 2015年4月「子ども・子育て支援新制度」のスタートと共に、認定こども園や小規模保育施設の数が増え、保育サービスの多様化が進んでいます。まさに今、保育業界は大きな転換期にあります。「保育園選びは何よりも『人』を見ることが重要」と断言する大嶽さんは、保育業界に特化したコンサルタントとして400以上の保育施設の運営に関わったプロ。ほかにも知っておきたい保育ビジネスのトレンドや保育園選びのポイントについてうかがいました。
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保育ビジネスのトレンドから見える「保活」のポイント

日本の保育事業における近年のトレンドとして、介護事業や学習塾、人材派遣業、製造業など、異業種からの新規参入の増加が挙げられます。この流れをさらに加速させているのが「子ども・子育て支援新制度」。特に小規模保育施設は、新制度における認可事業となり、公的資金補助を受けられるようになったことで認可外からの移行や新規の開設が増えています。新制度の導入により、なかには、「英語教育」「知育」に注力するなど、独自性を打ち出す施設も少しずつ出てきました。保育施設のサービスがこれまで以上に多様化する中での「保活」では、サービス内容の特色をしっかり確認することがより重要となるでしょう。

地域差が大きい「待機児童」問題

著者インタビュー画像1 「子ども・子育て支援新制度」の狙いの一つが「待機児童」問題の解消でした。しかし、ここで留意しておきたいのが、待機児童の問題は地域差が大きく影響する点です。私は都内だけでなく、地方の保育園の仕事も担当していますが、地方では、むしろ入園する子どもの数が少ないことが問題になりつつあります。東京では今後10年かけても待機児童の問題は解消できないといわれていますが、大阪や名古屋といった東京以外の都市部では、あと1、2年での問題解消の可能性が高い。こうした側面から考えると、新制度における認定こども園制度の改善は、地方の幼稚園に対しての救済策でもありました。女性の社会進出が進み、子どもをより長時間預かってくれる保育園への志向が高まる一方で、これまで多くの幼稚園では園児を増やす効果的な対策を打てずにいたからです。過疎化が進む地方の幼稚園では特に園児不足が顕著です。こうした幼稚園がこども園化することで、今後、さらに幼稚園と保育のボーダレス化は進むでしょう。

よい保育園の見分け方とは

では、どうやって「よい保育園」を見極めればよいのでしょう。私は、これまで保育施設運営のコンサルティングを通して「新しく保育園を立ち上げたい」という経営者の想いを聞き、経営計画や、マーケティング戦略の立案をしてきました。保育施設にはそれぞれ個性があり、「ここは、これから人気が出るだろうな」と思える園もあれば、「抜本的な改革が必要だな」と思う園もあります。
大きな違いであり、一番のチェックポイントとなるのが、実は園長先生のキャラクターです。保育施設の多くはスタッフ数20名から30名。組織論からいえば、この規模の組織の性格は、間違いなくトップで決まります。面白いもので、園長先生が明るく元気な園は、保育士さんもイキイキと働きますし、逆に、園長先生が挨拶を大切にしない園では、挨拶ができない保育士さんがいることも。

保育園選びで大切なのは「この人なら自分の子どもを任せたい!」という直感

著者インタビュー画像2 では、どうやって園長先生のキャラクターを判断すればよいのでしょう。まず、有効なのは10分でも15分でもよいので園長先生と直接話をすること。「この人なら自分の子どもを任せたい!」と思えるか。その直感が一番大切だと思います。保育園の価値観を知るうえで、園長先生に園の理念を聞いてみるのもよいでしょう。あまり理念にこだわりを持たれない方もいれば、「よくぞ聞いてくれた!」とばかりに、自分たちの理念をどのように園に反映させているのか、施設をまわりながら説明してくださる方もいます。

保育園の見学時、下駄箱を見れば園が大切にしていることはわかる

その一方で、園のようすや、働く保育士さんのようすを見ることも重要です。私が保育園で必ず見るのが実は下駄箱です。子どもたちの靴が、びしっと揃っている園がある一方で、バラバラな園も中にはあります。子どもたちに基本的なマナーを身に付けさせようとしている園なのかどうか、保育園の姿勢はこんなところにも表れるもの。だから、ちょっと細かいところも、きちんと注意深く見るのが重要なポイントになります。

保育士さんに余裕がある園は子どもが落ち着いている

可能であれば、保育士さんの事務室もチェックしたいですね。効率のよい作業、品質のよい仕事をする上で整理整頓は必須です。それが事務所の中でできていないということは、それだけ保育士さんが忙しく働いており、心に余裕がないということ。保育士さんの配置についてどの園も基準をクリアしているとはいえ、できるだけ子どもに対して手厚い保育ができるよう、保育士さんの人員を多く割いている園もあれば、最低基準ギリギリで保育を行っている園もあります。
子どもたちは、こうした空気を敏感に察知します。保育士さんがせわしない園で、子どもたちが落ち着いて生活することはなかなか難しいですよね。同じ意味で、園内で保育士さんが子どもを呼ぶ際に、遠くから「◯◯ちゃーん!」と大声で呼んでいるような園も、「保育士さんが横着しているなあ」という印象を強く持ちます。本来、子どもに声をかけるときは、子どものそばまで行って話しかけるべき。遠くから大声で呼ぶという姿は理想的な保育とはいえません。

保育園選びでは何よりも保育士さんの「質」が大切

著者インタビュー画像3 保育園選びにおいて、もちろんハード面・安全面は重要ですが、何よりも大切なのは、やはり「人」。人気が出て、企業として成長していくのは、やはり保育士さんの質が高い保育園です。0歳から5歳までの幼児教育の環境は、その先の子どもたちの性格や感性に大きな影響を与えます。保育園は子どもたちにとって最も長い時間を過ごす場所。誰と過ごすのかはとても大切です。保育園選びの基準としてついつい利便性に目が行きがちですが、その園が何を大切に考えているのかを知り、その方針に共感できる園を選びたいですね。

※プロフィールは取材当時のものです。

著者プロフィール

株式会社 船井総合研究所
医療・介護・福祉・教育支援部 チームリーダー チーフ経営コンサルタント

大嶽 広展

1982年生まれ。保育業界でのコンサルティング領域を確立した、業界有数のスペシャリスト。保育園経営の改善や保育所の新規開設担当案件はすでに400件を超え、独自の保育事業成功ノウハウを持つ。業界最大の経営情報サイト「保育経営ナビ」の主幹執筆をはじめ、メディアでも幅広く活躍中。ベビーシッター派遣、人材派遣、食品、スーパー、不動産など、幅広い業界のコンサルティング支援経験を持ち、現在は保育業界の活性化としくみづくりに挑み続ける。

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