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復職ママのためのおっぱいケアと母乳育児アドバイス妊娠・出産について

取材:2016年4月

著者インタビュー画像 スムーズな授乳ができるか多くの産後ママが気にしている一方で、産前からおっぱいや乳首のマッサージケアをしている人は意外に少ないもの。産前はなかなか気が回らないので知っておきたいことですよね。また職場に復帰するママには、仕事しながらの授乳や卒乳タイミングを不安に感じる人も多いはず。ここでは基本なおっぱいケアとトラブルについて、助産師の浅井さんにお聞きしました。ぜひ母乳育児生活をより快適にするために役立ててください。
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妊娠中からのおっぱいケアが大切
著者インタビュー画像1 現在、フリーランスの助産師として毎月30件ほどの新生児訪問をしています。地元・東京都調布市では、年間180〜200人の赤ちゃんが生まれ、そのうち6〜7割の母親が復職します。ここ数年で、32週まで働き、赤ちゃんが生後1歳未満で復職する人が増えています。出産年齢も平均34歳と高齢化が進んでいます。
こういう状況なので、まずは「無事に産む」ことをゴールと考え、妊娠中におっぱいをケアしない人がほとんど。でも妊娠中のケアは産後スムーズに母乳育児の波に乗るためにとても大切です。
「おっぱいを触ると切迫早産につながる恐れがある」という考えもありますが、私は臨月に入る頃の乳首のケアやおっぱいマッサージをおすすめしています。おなかが張りにくい入浴中に、乳首やおっぱいを柔らかくほぐしてみましょう。出産後乳腺が開通しやすく、乾燥による裂傷なども予防できます。
産後1週間以内に分泌される「初乳」は生まれたばかりの赤ちゃんをウィルスや病気から守る免疫成分をたっぷり含んでいます。初乳をしっかり飲ませてあげるためにも、産前のおっぱいケアは大切です。
授乳の悩みは助産師さんに相談を
著者インタビュー画像2 出産を終えたばかりの母親にとって、首がすわらないふにゃふにゃの赤ちゃんを抱っこするだけでも緊張するのに、初めての授乳が思うようにいかず、くたくたに疲れてしまうことも。努力してもどうにもならない挫折感を人生で初めて味わうのがこのときだったりします。私の実感からして、出産後3人に1人は授乳が順調にはいかず、授乳トラブルのある人の4人に1人は「産後うつ」の傾向が出てしまいます。それほど授乳の悩みは深刻なのです。
入院中の数日間にできるだけ多くの授乳を体験して、わからないことは何でも助産師さんに聞きましょう。退院後は自治体の新生児訪問や育児相談サービスなども活用して、赤ちゃんの生活環境に合わせた個別のアドバイスを受けることをおすすめしています。授乳の悩みやトラブルは百人百様なので、それぞれの悩みに寄り添って、授乳クッションの使い方や赤ちゃんの抱き方などきめ細やかなアドバイスをくれると思いますよ。
授乳初期の3大お悩み!乳口炎、乳腺炎、変型乳頭
著者インタビュー画像3 産後のおっぱいトラブルで多いのは乳口炎と乳腺炎です。乳頭の先に白いにきびのようなものができて(乳栓または白栓)、おっぱいが詰まり、炎症を起こすのが乳口炎。原因は脂っこい食事、添い乳、つぶし飲みなどです。湯船に浸かって乳頭のマッサージを行うと、脂や白栓が抜けやすくなります。
乳腺炎はひどくなると38度を超える発熱、頭痛、関節痛、おっぱいがもげるような痛みがあります。詰まっている母乳を外に出すことが大事なので授乳はなるべく続けながら、出産した病院を受診するなどしましょう。マッサージによって詰まった乳口が開通すれば治ることもあります。乳腺炎の原因は脂質・糖分の多い食生活、決まった授乳姿勢による一部の乳腺の乳溜まり、寝不足などによる疲労、母乳分泌が良すぎることによる乳溜まりなどです。
豪華な「お祝い膳」が出される産院もありますが、乳口炎も乳腺炎も食生活が大きな原因であることが多いので、この時期は粗食を心がけることが大切です。
また陥没乳頭などの変形乳頭で赤ちゃんが飲みづらいときは、ニップルシールドなどの器具をつけて飲みやすくするなど、様々なケアも可能。乳頭が傷ついてしまったら、お風呂上りにオイルやワセリンで保湿するなど、こまめなケアを心がけると、授乳ストレスが減りますよ。
おっぱいにいい食べもの・避けたほうがいい食べもの
おっぱいの分泌量は形や大きさではなく、乳腺の数や太さで決まるので、生まれつき出にくい人はいます。また母乳は自然に出るのではなく、赤ちゃんがおっぱいを吸うと出る仕組みになっています。母乳が十分に出ていないと感じても、こまめな授乳を続けていけば、量が増えることはよくあります。母乳が出にくい理由には、睡眠不足、貧血(血液不足)、冷え(血流の悪さ)、水分不足、栄養不足、ストレスがあります。おっぱいの外側にしこりがある場合は脂っこい食事、内側にしこりがある場合はストレスや寝不足が原因であることが多いので、触った症状に応じた対策をしましょう。

<食事アドバイス>
■母乳育児で摂取したほうがよいもの
  • 〇水分が多く体を温める献立
    ロールキャベツ、シチュー、鍋物、具だくさんのうどん、スープなど
  • 〇炭水化物豊富な食品
    ふかしいも、おにぎり、すいとん
  • 〇和菓子
    お汁粉、お団子など

■母乳育児で控えたほうがよいもの
  • ×からだを冷やす生野菜
  • ×糖質と脂質が多い洋菓子(ケーキ、アイスクリームなど)
  • ×揚げ物
  • ×乳製品

水分は毎日3L、食事は通常より700kcalくらい多く摂ることを目指して。慣れないうちは母乳が足りないかもしれませんので、赤ちゃんの状態をよく見ながら、徐々にペースをつかみしょう。母乳育児は「自己管理」が大切だというのが私の考えです。母乳の分泌を促したり、油を流す作用のあるハーブティを飲んだり、食事に注意するなど、毎日の心がけで解決することは意外と多いからです。

著者インタビュー画像4
<ハーブティーの写真>
AMOMAミルクアップブレンド(授乳量アップ)とミルクスルーブレンド(糖質脂質の多い食事による母乳の詰まりを抑制)。ともに30ティーバッグ入り1899円(税別)。英国ハーバリストと浅井さんが共同開発。
復職に向けておっぱいも準備を
著者インタビュー画像5 復職予定の人は、だいたい保育園の一斉入園にあたる4月に向けて12月頃から授乳ペースをどうすればいいか考え始めるようです。もともと母乳分泌が少ない混合授乳の人は、ミルクの量を増やしていけば授乳回数を比較的スムーズに減らせます。一方、完全母乳の人や母乳分泌が豊富な人は少し大変かもしれません。おっぱいからの母乳だけを飲んできた赤ちゃんは、いざ哺乳瓶であげようとしても急には飲めません。なかには哺乳瓶を全く受け付けないまま登園が始まってしまい、脱水症状を起こす赤ちゃんも。早めに少しずつ哺乳瓶で飲む練習をしておくといいと思います。
分泌の多い人はおっぱいを冷やす、絞る、少しきつめのブラジャーに変えて固定させる、水分を控えるなどして母乳の分泌量を減らしていきましょう。またペパーミント、セージなどのハーブティも分泌量を減らしたいときにおすすめです。うまくいくと、朝・夕方・夜だけ授乳して日中は断乳するリズムができ、「日中断乳」が定着します。すると母子ともに案外落ち着いて、新しい生活の波に乗っていくことができます。
授乳を続けながら復職する場合の「卒乳」「断乳」
著者インタビュー画像6 「卒乳」とは子どもが自分の意思でおっぱいを飲むのをやめること。「断乳」とは親の意思でおっぱいを与えるのをやめること。この違いはあまり知られていません。10年位前までは、復職を機にきっぱり断乳する人が多かったのですが、最近では復職しても授乳を続けたい人が増えています。「仕事が終わって子どもにおっぱいをあげる瞬間が、職業人から母に戻るスイッチなんです」という声には、なるほどなと思います。
ただしそこで注意したいのは卒乳の時期。最近は2歳を過ぎても授乳を続ける「長期授乳」が増えています。卒乳の目安は「2本足で立てる」、「歯が生えて1日3回離乳食を食べている」、「牛乳を飲める」の3つ。子どもはどんどん成長し、年齢や発達段階に応じて欲求は変化します。母乳だけが育児ではありません。母乳にこだわらず、読み聞かせや抱っこなど、新たなスキンシップの手段で愛情を伝えていきましょう。ベビーマッサージなどもおすすめですよ。
母乳育児・子育てなどの悩みを相談できる環境づくりを
母乳が出なかったり、出すぎたり、赤ちゃんの飲み方がうまくなかったり、抱っこの仕方がわからなかったり…。母乳育児の悩みは実に様々なので、相談できる人を見つけることは本当に大事です。頼りになる実母や義母が近くに住んでいれば心強いですが、そんな人ばかりではないでしょう。
まずはパートナーとの協力体制を整えておくこと。母乳不足で悩んでいたら、背中の経絡のつまりを緩和するために肩をもんでくれたり、ホッと一息つくためにハーブティーを淹れてくれたり…。そんなパートナーなんて素敵です。
また地域に子育てを応援してくれるサポーターを何人か作っておくこともおすすめ。母親学級や妊婦健診、ベビースイミング、保育園などいろいろなところで同じ年頃の子どもを持つ人と出会うチャンスがあります。そこで臆せず声をかけ、子育ての悩みや気になることを共有することから始めてみてはいかがでしょうか?産休・育休の期間を生かして地域とどんどんつながっておくと心強いと思いますよ。

※記事内容およびプロフィールは取材当時のものです。

著者プロフィール

助産師・マタニティアロマセラピスト

浅井 貴子

All About 母乳育児ガイド。新生児訪問指導歴約20年以上のキャリアを持つフリーランスの助産師。マタニティアロマセラピスト。大学病院、未熟児センター勤務の後、現在は近隣の行政で、母親学級、育児相談、新生児訪問などを行う。毎月30件、年間400件近い新生児訪問を行い、出産直後から3歳児の育児のアドバイスや母乳育児指導を実施。ベビーマッサージや妊婦向けのセミナー講師を多数務める。妊婦水泳&マタニティーアクアビクスの専門家でもある。

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